木酢液

炭は、炭焼窯の空気の少ない中で、木材をじっくり加熱して作られます。温度が次第に上昇し、木材の炭化がだんだんと進むにつれ出てくる煙も変化します。
はじめに出てくるのが「水煙」という煙です。加熱の最初の段階では、木の樹液の水分が蒸発します。その水分を含んだ湿度の高い煙が「水煙」です。
つぎに出てくるのが「きわだ煙」です。木の植物繊維であるへミセルロースなどが熱によって分解されるときに出てくるもので、黄白色のため「きわだ煙」と呼ばれています。
最後に出てくるのは「青い煙」です。ヘミゼルロースなどが熱分解され炭化された後、さらに加熱が進むと、リグニンという木の成分が炭化されていきます。このように、リグニンが熱分解されると「青い煙」が出てくるのです。
木酢液は、この3つの段階のうち、「きわだ煙」が出ているときに抽出されるのです。
炭焼窯で発生した煙は、煙突を通って外へ出されます。この煙突の中で「きわだ煙」を冷やして
液化させるのです。
煙突の中で発生した液体をタンクに溜めるのですが、このときの原液は「粗木酢液
(あらもくさくえき)」と呼ばれます。これを6ヶ月以上静かに保存します。
すると、タンクの液体は3つの層に分かれます。いちばん下にタール分が沈み、中間が赤褐色
(紅茶色)の液体の層で、いちばん上が油分の薄い層になります。
この中間層の液体を取り出したものが木酢液となるのです。木酢液には、酢酸、フェノール類、
カルボニル類、アルコール類、アミン類など、200種類以上の成分が含まれています。
このため、植物や動物などへの体内の浸透性や吸収性が非常に優れているのです。